MRJの主翼にはフラップ・スラットなどの高揚力装置,それからエルロンなどが装着されているように見えます(http://aircraft.graph.jp/archives/9参照)。MRJの高揚力装置は,公式サイトや報道などから,次のメーカーが製造を担当しているようですが,それらの会社から部品が納入されているようです。
- AIDC(漢翔航空工業股份有限公司):
- Nabtesco:
- UTC Aerospace systems
AIDCでは,2014/2/27に,MRJを開発する三菱航空機に対し,出荷式のようなセレモニーが行われたことが記事になっていました。下記3点が展示されたようです。
- ベリーフェアリング
- フラップトラックフェアリング
- スラット
また,この記事の中には,AIDCが担当するMRJの部品として,下記5点が書いてあります。
- フラップ
- エレベーター
- ラダー
- エルロン
- スポイラー
- ベリーフェアリング
三菱航空機のサイトには,スポイラーの製作は記載されていませんが,AIDCはスポイラーも製作するようです。
http://www.aidc.com.tw/enn/newsshow.asp?newsid=132
(AIDCのサイトより引用)
この赤い布がかかっている大きな部品はベリーフェアリングであり,13mの大きさがあると書かれています。MRJの公式サイトによると,MRJの長さは35.8mなので,13mとなると1/3位上の大きさです。
(AIDCのサイトより引用)
この部品はおそらくスラットと呼ばれる主翼の全部に取り付く高揚力装置であると思われます。鋲でたくさん止めてあるのが見て取れます。
一方,これらの構造部品を動かすアクチュエーターを製造しているのがNabtescoです。岐阜県に工場がある会社です。三菱航空機のサイトには,フライト・コントロールアクチュエーターとだけ書いてあり,どの部分を作っているのかが明確ではありません。
SJACのサイト(http://www.sjac.or.jp/common/pdf/kaihou/201307/20130702.pdf)によると, ラダーアクチュエーター,マルチファンクションスポイラーアクチュエーターが展示されていたと書いてあります。また,それを制御するコンピューターであるアクチュエーター・コントロール・エレクトロニクスも製造しているようです。また,Nabtescoのプレスリリース(http://www.nabtesco.com/news/pdf/080215release.pdf)によると,下記をNabtescoが担当すると記載されています。
- ラダーアクチュエーター
- エレベーターアクチュエーター
- エルロンアクチュエーター
- スポイラーアクチュエーター
- グランドスポイラーアクチュエーター
- アクチュエーターコントローラー
一方,UTC Aerospace systemsが,MRJの主翼に関しては,下記を担当しているようです。
- フラップアクチュエーター
- スラットアクチュエーター
(参考:http://repairsearch.utcaerospacesystems.com/vgn-ext-templating-hs/v/index.jsp?vgnextoid=16eaaec96b991110VgnVCM1000007301000aRCRD&hsct=hs_news&ciid=bba8d667ffec6110VgnVCM100000c45a529fRCRD)。UTC aerospace systemsは,以前はHamilton Sandtrandという会社だったのですが,社名を変更しました。
MRJの主翼はたくさんの会社がいろんな部品を作ってなりたっていることがわかります。まとめると,以下のようになります。
部位 | メーカー | |
構造部品 | アクチュエーター | |
主翼本体 | 三菱重工 | なし |
フラップ | AIDC(台湾) | UTC Aerospace systems(アメリカ) |
スラット | AIDC(台湾) | UTC Aerospace systems(アメリカ) |
スポイラー | AIDC(台湾) | Nabtesco(日本) |
エルロン | AIDC(台湾) | Nabtesco(日本) |